相続税とは
相続や遺贈によって財産を取得した場合にかかる税金を相続税といいます。相続税の計算のしかたは次の通りです。
- 相続を受ける各人の課税価格を計算します
- 相続税の総額を計算します
- 各人の納付税額を計算します
各人の課税価格とは
夫(被相人)が亡くなり妻、長男、長女が相続人となったとしましょう。それぞれの相続財産の中に非課税財産や債務・葬式費用があれば差し引きます。みなし相続財産として生命保険金がありましたが、保険料200万円は生命保険の非課税限度額の範囲なので計算されません。
妻
長男
長女
- 土地 3500万円
- 建物 1000万円
- 現金 700万円
葬式費用 200万円を出している
- 現金 600万円
- 借入金 100万円
- 現金 500万円
葬式費用は課税価格から控除できる
借入金は相続財産から控除できる
課税価格 5000万円
課税価格 500万円
課税価格 500万円
相続財産とは
- 本来の相続財産…預貯金、株式、土地、建物などです。
- みなし相続財産…生命保険、死亡退職金(死後3年以内に支給が確定したもの)などがあります。
- 相続時精算課税による贈与財産…生前に子、孫に贈与した時に贈与税を軽減する代わりに相続のときに、相続税に加算されます。
- 相続開始前3年間以内の贈与加算…相続開始前3年以内に贈与を行けた場合相続財産として加算されます。
非課税財産
財産の中には非課税のものがあります。次の通りです。
- 墓地、墓石、祭具、仏壇、仏具などです。
- 生命保険金のうち一定額、死亡退職金のうち一定額(500万円×法定相続人数)
- 弔慰金(会社から送られた金銭)…非課税限度額=業務上の死亡は(死亡時の普通給与×36ヶ月)行業務外の死亡 非課税限度額=(死亡時の普通給与×6ヶ月)
計算する法定相続人の数
- 相続放棄の人がいても放棄がなかったものとして法定相続人の数に入れます。
- 養子は実子いる場合は1人まで、いない場合は2人までと制限があります。
債務控除
借入金、未払いの医療費、未払いの税金、葬式費用、納骨費用などは課税価格から控除することができます。
相続税の総額を計算
被相続人妻、長男、長女の課税価格の合計 6000万円
これより基礎控除額を引きます
遺産に係る基礎控除額
3000万円+600万円×3(法定相続人の数)=4800万円
課税遺産総額が分かります
課税遺産総額 1200万円
各相続人における法定相続分の計算をします
妻 2分の1 600万円
長男 4分の1 300万円
長女 4分の1 300万円
上の金額に税率をかけます。どちらも1000万円以下なので10%となります。
妻 60万円
長男 30万円
長女 30万円
これらを足して相続税の総額を計算します。
相続税の総額 120万円
各人の課税価格の総額から基礎控除額を引く
- 基礎控除額…3000万円+600万円×法定相続人の数
- 課税があった被相続人(死亡者)の数は100人のうち約8人となっていますのでほとんどの人は相続税を納める必要はありません。
各人の納付税額を計算
- 相続税の総額に各人が実際に受け取った課税価格の割合をかけて計算します。
- 配偶者、1親等の血族以外は2割加算(孫はならない)します。
実際の按分割合(各人が実際に受け取った課税価格の割合)を計算します。
妻
5000万円÷6000万円=0.83
長男
500万円÷6000万円=0.083
長女
500万円÷6000万円=0.083
相続税の総額に按分割合を掛けて各人の算出総額を計算する
妻
120万円×0.083=99.6万円
長男
120万円×0.083=9.96万円
長女
120万円×0.083=9.96万円
相続税の税額控除
- 基礎控除…3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 贈与税額控除…3年以内に贈与税を課された場合に贈与税額を控除できる
- 配偶者の税額軽減…1億6000万円か法定相続分か多い金額までは相続税はかからない
- 未成年者控除…(20歳-相続開始の年齢)×10万円を控除する
- 障害者控除…(85歳-相続開始の年齢)×10万円を控除する
- 相次相続控除…10年以内に相次いで相続があった場合一定の額を控除する
- 外国税額控除…外国で相続税が課された場合は控除する
配偶者税額控除
例題の場合は妻に配偶者控除の軽減が適応されます。1億6000万円より相続した財産が少ないので妻には相続税がかかりません。
相続税の納付
申告書の提出義務者
基礎控除以下の場合は不要。配偶者税額軽減などを受ける場合はいります。
提出期限
相続開始を知った翌日から10ヶ月以内です。
提出先
被相続人の死亡時における住所地の税務署になります。
金銭が原則だが延納(分割払い)も認められる
一括が困難、10万円以上。期限までに延納申告書を提出、担保を提出します。(100万以下かつ3年以下の場合はいらない)
物納
延納も困難、申告期限までに物納申請書を提出します。次の順位で物納を行います
- 国際・地方債、不動産、船舶、上場株式
- 非上場株式
- 動産
相続税の取得加算
- 相続や遺贈により財産を取得されたもの
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 相続開始のあったその翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過するまでにその財産を譲渡していること
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