金融商品には普通預金、定期預金などの貯蓄型商品と、債券や株式、投資信託などの投資型商品があります。
貯蓄型商品は元本が保証されていますが、投資型商品はその時の経済や景気によって利益や損失が発生し、元本を割ってしまうこともあります。
景気の現状を理解することで、どんな金融商品を利用するのがいいかがわかります。
景気がわかる指標
景気の判断をするためには次の3つの指標を使います
- (GDP)国内総生産
- 景気動向指数
- 日銀短観
国内総生産(GPD)
国内の経済活動において1年間に国内で生産されたモノやサービスの付加価値の総額です。内閣府が年4回発表します。
経済成長率
一国の経済規模の1年間における成長率をいい、一般的にはGDPの伸び率をいいます。
景気動向指数
指数には①先行指数⓶一致指数③遅行指数があり景気の状況を総合的に観るように複数の指数を総合します。内閣府が毎月発表します。
先行指数
景気が良くなるまえに先行して動きます。景気が良くなる前には求人が増えたり、住宅の注文が増えたり、工場などの機械が注文されます。
一致指数
景気と同じタイミングで動きます。景気が良くなれば工場の生産が増えたり、有効求人倍率が増えます。
遅行指数
景気に遅れて増えます。景気が良くなれば法人税の収入、各家庭の支出が増えます。完全失業率が減ります。
特徴 | 景気動向指数に使われる主な指標 | |
先行指数 | 景気に先行して動く | 新規求人数 新設住宅着工床面積 実質機械受注 |
一致指数 | 景気にほば一致して動く | 鉱工業生産指数 有効求人倍率 |
遅行指数 | 遅れて動く | 法人税収入 家計消費支出 完全失業率 |
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)
日本銀行が年4回、上場企業や中小企業に対して景気の現状と3か月後の予想についてアンケート調査を行い。それを集計したものです。業況判断DIの値で公表します。
行況判断DI=今より3か月後の業況が良いと答えた企業-業況が悪いと答えた企業
マネーストック
個人、法人、地方公共団体が保有する通貨の総量です。日本銀行が毎月公表しています。
物価の動きを知る2つの物価指数
物価指数には企業物価指数と消費者物価指数があります。
企業物価指数
企業間で取引される商品などの価格変動を表す指数です。景気がいいときは上昇し、景気が過熱すると高騰します。景気の動きに反映します。
- 日本銀行が毎月発表
- 原油価格や為替相場の変動の影響を受けるため、消費者物価指数より変動が激しい
消費者物価指数
一般消費者が購入する商品やサービスの価格変動を表す指数です。企業物価指数より指標の動きが安定しており、中長期的な物価の変動を捉えるのに適しています。
- 総務省が毎月発表
- 公的年金の額の改定や政府の経済施策の決定の参考にされる重要な指標
景気の影響
景気はサイクルを繰り返しています
不景気→景気の拡大→好景気→景気の下降→不景気
インフレとデフレ
インフレとは、物価が上がることで、貨幣価値は下がります。デフレは、物価が下落することで貨幣価格が上がります。
物価 | 貨幣価値 | |
インフレ | 上昇 | 下がる |
デフレ | 下落 | 上がる |
景気、金利、物価、為替、株価の関係
景気と金利
景気が良くなるとお金を借りたい人が増え、金利は上昇します。景気が悪くなるとお金を借りたい人が減るので、民間金融機関はお金を借りてくれる人が借りやすくするために金利が下落します。受容と供給の原理です。
金利 | |
景気が良い | 上昇 |
景気が悪い | 下落 |
物価と金利
物価が上がると物を買うためにお金がたくさんいるので金利は上昇します。
金利 | |
物価が上がる | 上昇 |
物価が下がる | 下落 |
為替と金利
為替が円高になると輸入製品の価格が下がるので、輸入商品を買うためにはお金があまりいらなくなりお金を借りる人が減ります。それにより金利は下がります。円安になると輸入製品の価格が上がります。輸入製品を買うためにはたくさんお金がいるので、お金を貸してほしい人が増え金利は上がります。
ちなみに円高とは1ドル100円から1ドル90円になった。これを円高といいます。
金利 | |
為替が円高 | 下落 |
為替が円安 | 上昇 |
景気と株価
景気が良くなると企業も業績を伸ばし株価も上昇します。
株価 | |
景気が良くなる | 上昇 |
景気が悪くなる | 下落 |
金融の基本
金融市場
金融とは「お金の貸し借りを行うこと」です。金融市場とはお金の貸し借りができる市場をいいます。金利は日本銀行の金融政策によって水準が決まりますが、長期金利は景気や物価、為替相場、海外金利などの影響を受けて変動します。
取引期間が1年未満の短期金融市場
- インターバンク市場(金融機関だけが参加できる市場)
- オープン市場(手形市場、コール市場)…一般企業も参加できる
取引期間が1年以上の長期金融市場
- 債権市場、
- 株式市場
- 新発10年長期国債の利回り
新発10年国債利回り
長期金利の指標として利用されており、住宅ローン金利、企業の長期資金借り入れ利率の基準となります。
金融政策
日銀が行う金融政策です。
公開市場操作
売りオペレーション
- 景気上昇期…資金上昇を抑える必要がある
- 売りオペレーション…日銀保有の債権などを金融機関に売る
- 市場に出回る資金の量を減らす
- 金利上昇
買いオペレーション
- 景気後退期…景気の悪化を抑える必要がある
- 買いオペレーション…日銀が金融機関の保有する債権などを買う
- 市場に出回る資金の量を増やす
- 金利下落
預金準備列操作
金融機関は準備預金として一定割合の預金を日本銀行に預けることが義務付けられています。子の一定割合を預金準備率といいます。預金準備率を引き上げたり、引き下げたりすることによって、金うう市場の資金量を調整することを預金準備率操作といいます。
景気上昇時
- 預金準備率引き上げ
- 市場に出回る資金の量が減る
- 金利上昇
景気後退時
- 預金準備率引き下げ
- 市場に出回る資金の量が増える
- 金利下落
コメント